家族にゆずる?売却する?閉所を決める前に考えたい、“あと継ぎ”という選択肢

「そろそろ続けていくのが厳しいかもしれない」「スタッフの確保も難しいし、⾃分も年齢的に限界かも…」福祉施設の運営者の中には、そんな思いから「閉所」や「撤退」を検討する⽅が年々増えています。特に、地⽅や⼩規模事業所では、⽇々の運営を回すだけでも精⼀杯という声を多く聞きます。でも、ちょっと待ってください。本当に「やめる」以外に道はないのでしょうか?今、閉所を選ぶ前にこそ知っておいてほしいのが、“あと継ぎ”という選択肢です。福祉事業は、「誰かに引き継いでもらう」という形で、地域の⽀援の場を守り続けられる可能性があります。ここでは、「家族に継がせる⽅法」と「第三者に託す⽅法」の違いを解説しながら、事業を“終わらせない”ためのヒントをご紹介します。


まず考えられるのは、⼦どもや親族など、家族に継いでもらう形です。⾃分の想いや現場で築いた信頼関係を直接引き継げる点が最⼤の魅⼒です。

⼀⽅で、「⼦どもは別の道を歩みたいと⾔っている」「家族に負担をかけたくない」という理由で、家族承継を断念されるケースも珍しくありません。


では、家族に継がせるのが難しい場合はどうするか。その答えが、第三者による事業承継=M&A です。「M&A なんてうちには関係ない」と感じるかもしれませんが、最近では⼩規模事業所同⼠の⽔平連携や、地域内での承継も増えてきています。単なる“売却”ではなく、“託す”という考え⽅が、福祉業界でも当たり前になりつつあるのです。

たとえばある⾼齢者施設では、経営者が⾼齢となり「そろそろ閉めようか」と考えていましたが、地域の訪問介護事業者が事業を引き継ぎ、今では地域包括ケアの拠点として発展しています。


施設を閉めるという判断は、決して軽いものではありません。
そこには、「体⼒的にも限界」「⽀えてくれる⼈がいない」「家族に負担をかけたくない」といったさまざまな事情があるものです。それでも、事業を誰かに“託す”という選択肢が、実は⾃分⾃⾝や地域にとっても希望になることがあります。
事業承継とは、終わらせることではなく、次の誰かにバトンを渡すこと。そしてそのバトンには、これまであなたが築いてきた⽀援の理念や、利⽤者・地域との絆が詰まっています。ある元経営者の⽅は、M&A で施設を引き継いだ数年後、こう語っていました。「今の会社になってから、建物も新しくなって、スタッフも増えて、すごく⽴派になったんですよ。でも、いまでも職員さんが『この場所の原点は、前の代表なんですよ』って⾔ってくれて。ここの⼟台は、私がつくったんだなって、思えるんです。誇りですよ。」
この⾔葉には、「託す」という選択肢が、事業者にとっても“誇れる未来”を残す道であることが表れています。たとえ⾃分が現場を離れたあとでも、⾃分の想いが形として残り続ける――それは、数字や経営指標では測れない、かけがえのない価値ではないでしょうか。


「もう限界かも」と思ったときこそ、⼀度⽴ち⽌まって考えてみてください。この事業を、⾃分の⼿で終わらせるのか。
それとも、⾃分の想いを誰かに託して、未来へつなぐのか。
家族に継がせることも、第三者に託すことも、どちらも⽴派な「あと継ぎ」の形です。
⼀番⼤切なのは、⾃分の意思と、地域や利⽤者の未来を考えて選ぶこと。
福祉介護 M&A センターでは「閉めようか悩んでいる」という段階からでもご相談を受け付けています。まだ間に合います。⼀緒に“残す道”を探してみませんか?