正直いくらなら買いますか

福祉施設 M&A のリアルな価格感

福祉事業所の M&A(売買)は、店舗や不動産の取引と違って、 「⼈」と「仕組み」が最⼤の資産です。そのため、価格は単純な建物価値だけで決まらず、経営状況や職員の定着率、利⽤者数、地域のニーズなどが複雑に絡み合って算定されます。


※上記はあくまで⽬安であり、加算取得状況や地域性によって変動します。

補⾜:
福祉事業の場合、「許認可(指定)」「利⽤者との契約」「スタッフの継続雇⽤」が価値を⽀えています。⾚字でも、利⽤者数やスタッフ体制が整っていれば⼀定の評価がつくことがあります。逆に、⿊字でもスタッフの離職率が⾼い場合は評価が下がります。


1. 利⽤者数と稼働率
・稼働率 80%以上は⾼評価
・送迎範囲やサービス内容によって変動
稼働率が安定している施設は、買い⼿にとって安⼼感があり、価格も⾼くなりやすいです。

2. 加算取得の状況
・処遇改善加算
・送迎加算
・個別機能訓練加算
加算を適切に取得できているかは、収益⼒に直結します。加算取得率が⾼いほど評価も上がります。

3. スタッフ体制と離職率
・資格保有者⽐率
・管理者・サービス提供責任者の安定性
スタッフの定着率が⾼く、現場が安定していると「引き継ぎ後の運営リスク」が低くなり、買い⼿の安⼼感につながります。

4. 地域性と競合状況
・⾼齢化率が⾼いエリア
・競合事業所の密集度
需要の⾼い地域、競合が少ない地域では価格も⾼くなる傾向があります。

5. ⾏政対応・監査履歴
・指導監査で重⼤な指摘がないか
・書類整備の状況
監査指摘が多い事業所はリスクとみなされ、評価が下がる場合があります。



・売り⼿の主張:「利⽤者に喜ばれている」「地域で評判がいい」
・買い⼿の評価:「数字に現れない部分は価格に反映しづらい」

補⾜:
想いは重要ですが、M&A の場では「感覚」ではなく「数字と仕組み」が重視されます。経営実績、稼働率、離職率、監査履歴など、客観的に⽰せるデータを⽤意することが価格交渉のカギです。


・直近 3 年分の決算書・加算取得状況を整理
・稼働率・離職率・資格保有者率のデータ化
・⾏政監査の結果と改善対応の記録
・将来計画や伸びしろの提⽰

これらを事前に準備することで、価格を数百万円単位で引き上げられる可能性があります。


福祉施設の M&A 価格は、単なる売上や利益だけでは決まりません。稼働率、加算、スタッフ体制、地域性、⾏政対応など、複数の要素を総合的に評価した「安⼼して引き継げる事業所」こそが⾼値で取引されます。「いくらで売れるか」ではなく、「いくらで買いたいと思ってもらえるか」を意識することが、最終的な価格アップにつながります。