【異業種M&Aの失敗例から学ぶ】買収後にスタッフが大量離職する原因と回避策
―“組織文化の継承”こそがPMI成功の鍵―

異業種から福祉事業をM&Aで取得したあと、「スタッフが一斉に辞めてしまった」「現場の雰囲気が急に悪化した」という相談は少なくありません。実は、これは経営能力ではなく “文化の理解不足”が原因であるケースがほとんどです。PMI(Post Merger Integration:買収後統合作業)の初期対応を誤ると、どれほど優れた事業でも一気に崩壊します。ここでは、実際の失敗例をもとに、スタッフ離職の原因と防止策を整理していきます。
1. 「現場の空気」を無視した経営方針の押し付け
異業種の経営者ほど、買収後に“改革”を急ぎがちです。たとえば、飲食業出身のオーナーが「顧客満足を重視した接客型支援」に切り替えようとして、現場スタッフが混乱するケースがあります。

💡 回避策ポイント
・買収後3か月は「観察期間」と割り切り、方針変更は慎重に
・経営判断よりもまず現場ヒアリングを優先
・既存の運営ノウハウを「尊重の姿勢」で取り入れる
2. 「異業種文化」を持ち込みすぎる
他業種の経営ノウハウは福祉事業でも活かせますが、やり方をそのまま持ち込むと逆効果です。特に「数字管理」「KPI」「効率化」を強調しすぎると、福祉現場では“人を見ていない”と受け取られます。
スタッフが離れていく典型的なサイン
・「報告書に気持ちが入らなくなった」と言い出す
・管理者が本部への報告を避け始める
・シフト調整で対立が起きる
適切な“文化移行”のポイント
・現場リーダーを交えて「業種間の価値観共有会」を行う
・数値だけでなく“支援の質”を評価軸に入れる
・「効率化」は“職員の負担軽減”を目的に打ち出す
3. PMI初期のコミュニケーション不足
M&A直後は、スタッフにとって「自分たちの将来が不透明」な状態です。このとき、わずかな説明不足が“大きな不安”につながり、離職の引き金となります。

🗝️ ポイント
・M&A初期の3か月間は“安心感の醸成”が最優先
・コミュニケーションの密度は通常の3倍を意識
・既存管理者を橋渡し役(文化通訳者)として活用
4. 離職を防ぐための「PMI実践チェックリスト」
導入1〜3か月の対応ポイント
・現場面談を全員に実施
・管理者会議で“現場の困りごと”を吸い上げる
・前経営者・施設長との連携期間を確保
・経営方針変更は“合意形成”を経てから実施
・スタッフ表彰・感謝の場を早期に設定
この時期の関係構築が、1年後の離職率を大きく左右します。
5.まとめ 福祉の「理念」と異業種の「経営力」を融合させる
異業種M&Aの最大の落とし穴は、理念と文化のすれ違いにあります。経営者が数字を見て、現場が人を見て――その間に“信頼の断絶”が生まれると、どんな仕組みも機能しません。だからこそ、PMI初期には次の三点が重要です。
・現場理解を最優先する観察期間を設ける
・異文化を融合させる“対話の場”を定期的に設ける
・職員の安心を第一に考えるマネジメントを徹底する
異業種の強みを活かしながら、現場の理念を守る。それができて初めて、福祉事業のM&Aは“真の成功”と言えます。

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